課題研究・特別課題研究

特別課題研究
「東日本大震災と教師教育」福島からの報告をもとに、教師教育を考える
9月9日(日)13:00~16:00・6311教室

報告者1
神野 與
(震災当時・三春町立岩江中学校校長、
現・福島大学附属特別支援学校副校長)
報告者2
猪狩 勝人
(震災当時・川内村立川内小学校教諭、
現・伊達郡川俣町立冨田小学校教諭)
指定討論者
三石 初雄(東京学芸大学)
司会
平野 和弘(東洋大学)・船寄 俊雄(神戸大学)

特別課題研究 趣旨

2011年3月11日に東北地方を襲った東日本大震災は多くの方々に甚大な被害をもたらしました。そして今もなお、苦しい生活を強いられている方々が多くいます。地域社会全体が甚大な被害を受ける中で、教育界もまた大きな被害を受けました。たくさんの子どもたちやその家族、学校教師や教育関係者がお亡くなりになり、多くの学校や教育関連施設が破壊されました。

こうした未曽有の災害を受けて、日本教師教育学会として、学校と教師の現状と課題を、教師教育の視点から、参加者とともに考え、今後への教訓を導き出したいとの思いから、特別に課題研究部会が設置されました。

昨年度の大会では、被害の大きかった3県、岩手、宮城、福島から、いずれも大きな被害に遭われつつも、地域支援に取り組んでおられる大学に所属する3人の先生方の報告を受けることができました(報告は『年報第21号』掲載)。

今回は、3県の中でもとくに地震、津波に加えて原発事故という衝撃的な出来事によって今もなお多くの苦しみに直面している福島から、神野與先生及び猪狩勝人先生のお二人を迎えて、震災時からその直後、そしてその後の1年余りの体験をおうかがいするとともに、福島において調査等研究・支援活動に取り組んでいる三石初雄会員に指定討論者としてお願いし、それらのご発言を踏まえて、教師としての役割や資質力量の問題、これからの教師教育の在り方の問題を、共に討議していきたいと思います。

課題研究Ⅰ
「教師教育研究の国際化」教師教育基準にかかわる政策動向の検討
9月9日(日)13:00~16:00・6307教室

報告1
教師教育政策と質管理・基準の設定に関わる諸課題
―日本の動向を中心に―
岩田 康之(東京学芸大学)
報告2
中国の「教師教育課程標準」「教師専業標準」をめぐって
臧 俐(東海大学短期大学部)
報告3
韓国の教員養成機関に対する評価の動向 ―「淘汰」という質保証―
井手 弘人(長崎大学)
報告4
EU域内の教員養成評価の動向 ―ドイツの事例を中心に―
吉岡 真佐樹(京都府立大学)
司会
岩田 康之(東京学芸大学) ・吉岡 真佐樹 (京都府立大学)

課題研究Ⅰ 趣旨

第8期理事会に置かれた課題研究「教師教育研究の国際化」部会は、本学会国際部の活動と連携しながら、①.教師教育研究に関わる「国」の枠を超えたトランス・ナショナルな課題の検討を行うとともに、②.教師教育研究に関わる国際的なネットワークづくりの検討に着手することを企図している。

今回のセッションでは、2012年12月に予定されている第3回東アジア教師教育研究国際研究大会(華東師範大学)の全体テーマが「High-Quality Teachers and Teacher Professional Standards – The International Prospect」であることに鑑み、東アジア域内を中心に、それぞれの政府による教師の資質向上策に関わる基準の設定と、その運用の実態を学ぶことを通して、教師教育をマクロな視点から研究していく際の課題を共有したい。活発な参加を期待する。

課題研究Ⅱ
「教師教育研究の課題と方法」
元編集委員長・副委員長が語るこれからの教師教育研究への提言と期待
9月9日(日)13:00~16:00・6308教室

報告1
第5期年報編集委員会副委員長からの提言
前島 康男(東京電機大学)
報告2
第6期年報編集委員会委員長からの提言
陣内 靖彦(聖徳大学)
指定質問者
和井田 清司(武蔵大学)
司会
木内 剛 (成蹊大学)・浜田 博文 (筑波大学)

課題研究Ⅱ 趣旨

第8期での「教師教育研究の課題と方法」部会では、教師教育研究においても多角的な研究面がある中で、教師の力量形成に直結する研究に焦点を当てて、課題と方法の洗い出しに取り組みたいと考えている。しかしながら今年の研究大会では、まだ部会がスタートしたばかりのため独自の発表はできない。そこでこの機会に、これまで投稿論文の審査をしてきた編集委員長(副委員長)から気づいた提言を訊くことがなかったのはもったいなかったとの考えから、年報編集委員会の委員長からこれからの研究に対する提言を訊くことを企画した。会場が東京であることも、招聘するには好都合である。

大会プログラムの制約により、第7期の編集委員長・副委員長は別の部会に出席するため提言を聴くことができない仕儀なのは残念であるが、別の機会に期待することにして、それより前に担当された方々からお話を聴くことができることになった。あくまでも私見としてご意見ご提言を聴かせていただくものである。

今年の当部会は、これからの研究を進める上での貴重な意見を伺える機会になるものと期待される。これまでの研究を見直し、これからの研究のありかたをお考えになっている本学会の会員の皆さんには、ぜひ奮ってご参加いただきたい。

課題研究Ⅲ
「教師教育の高度化」教師教育の高度化をどう捉え、位置づけるか
9月9日(日)13:00~16:00・6309教室

報告1
佐藤論文と小島論文のまとめ
田中 卓也(共栄大学)
報告2
教師教育の高度化における「知」について
走井 洋一(東京家政大学)
報告3
教員養成における実践的指導力を考える視点 ―本学の取組から―
白井 重樹(滋賀大学)
報告4
アメリカにおける教師教育の高度化と専門職化をめぐる動向:
スタンダードに基づく教育改革の展開を概観しつつ
北田 佳子(富山大学)
コメンテーター
小島 弘道(龍谷大学)・新井 保幸(筑波大学大学院)
司会
北神 正行 (国士舘大学) ・町田 健一 (国際基督教大学)

課題研究Ⅲ 趣旨

教師教育の高度化問題は、本学会でも近年の重要テーマとして設定され、第7期研究部会では「大学院における教師教育」というテーマで検討されてきた。また、研究大会でも、「教員養成の高度化と専門性・多様性をどう確保するか」をテーマにシンポジウムが開催されている。加えて、政策的には中央教育審議会において教員の資質能力向上特別部会が設置され、本年5月には「教職生活全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(審議のまとめ)」が提出され、その中で「教員養成を修士レベル化し、教職を高度専門職業人として明確に位置づける」ことや、それに合わせて教員免許制度の見直し等が提案されるなど、教師教育の高度化に向けて動きが加速化しつつある。

こうした研究と政策動向を踏まえながら、本部会では教師教育の高度化について、今少し原理的な側面から検討し、そのありうべき方向性や研究上の課題を整理することに主眼をおいて3カ年の研究をスタートすることとした。第1年目である本年度では、その論点整理という観点から報告するとともに、会員から広く意見を伺い、今後の研究の進め方等について検討する場として本課題研究を設定することとした。

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